■著者/山岸凉子

【天人唐草】あらすじ

厳格な父親に育てられた主人公、響子は次第に内向的な女性になってゆく。
社会にもうまく適合できず、それでも頑なに自分を変えようとはせずにいた。
歪んだ男性観を持ちつつ、悲劇へと進んでいく。

【天人唐草】ネタバレ、感想

トラウマレベルのマンガ

私が初めて山岸涼子先生の本を読んだのが天人唐草。
しかも子供時代に。正直トラウマレベル。
でも、それ以来山岸凉子先生のファンになってしまった。
冒頭からフリフリの服をきた主人公が「きぇ~~」
と叫ぶシーンから始まるので「な、な、何だこれ??」と
子供心ながら驚きと怖いもの見たさでドキドキしながら
ページを進めたのを覚えている。

何回も読み返してきた、超おすすめのマンガ。
まず圧倒的に画力がある!
そして話が本当に面白い。怖いけど面白い。

心理描写がすごい

押見修造先生の他のコミックはなんだか読むのに疲れてしまって【悪の華】なんかは
読み終わった後はエネルギーを吸い取られたようにぐったりしてしまったけど、
血の轍は夢中になって読んでしまう。
何がすごいのかって、表情ひとつ、目の動きひとつに
心理描写がよく描かれていて、読んでいると引き込まれる。
心の中の声は書かれてねいけど、その分表情から伝わるのがすごい。

「天人唐草」と「イヌフグリ」

子供時代の響子は「イヌフグリ」の花がかわいいと思って、
なぜ「イヌフグリ」なのかを親に質問する。
ちなみに「イヌフグリ」とは「犬の陰嚢」のことで、
実の形が、犬の陰嚢に似ていることにちなんで付けられた名前らしい。
(何も陰嚢にたとえなくても、、)
それを知らない響子は純粋に親に質問したわけだが、
父親から怒鳴られ、叱られてしまう。
母親からは「天人唐草」という他の呼び名があるから、そう呼びなさい、と言われる。

父親からの抑圧

そうして大人になっていく過程で、色々なことで親から抑圧されていく。
例えば思春期時代の響子が好きな男子にラブレターを渡し、
それが父親に知られてこっぴどく叱られ、罵倒されてしまう。
異性を好きになり、アプローチすることは「はしたないこと」だと
植え付けられてしまう。

「つつましくなければいけない」「失敗してはいけない」
「異性に興味を持つのは恥ずかしいこと」
こうした観念を埋め込まれて、次第に内向的になっていく。
まだ子供の頃は明るく無邪気な少女だった。
それが本来の響子なのかもしれない。

なんて窮屈なんだろ!それが正しいものだと疑いもせず、
反抗期すらなかったんだろうな、、、。

社会に出てからも、父親の言っていた
「こうあらねば」というものに縛られていく。
周りとうまくなじめず、対応できず、疎外感を観じるようになる。
そして徐々に悲劇へと向かっていく。
今ではこういう父親は少ないのかもしれないけど、
昔はもっと多かったんだろうなあ。
子供の頃は他の価値観や観念を探すことが難しいけど、
大人になって自分で価値観や観念を選び直すことも出来たのかもしれない。
響子にもそのチャンスはあった。

あんたさあ、みえっぱりだよなあ

そのチャンスとは、職場の先輩の一言。
「あんたさあ、みえっぱりだよなあ」
お茶入れのことで上司が陰口を言っているのを聞いてしまい、
泣いている響子に職場の先輩が指摘した。
「みえっぱり!?あたしのどこが!!」
「あたしは一生懸命やってる!だけどうまくやれない!」
先輩の佐藤は更に指摘する。
「うまくやれないってことがそんなに大変なこと?」
「なんでもうまくやれるすばらしい女だ!、と言われたいんだよね。それが見栄なんだよ」
響子にとって佐藤の言葉はかなり衝撃的だったはず。
一度自分を見つめ直して、
今までの自分の歪んだ価値観、父親から植え付けられた女性観、
そういったものを手放すチャンスだったのに、響子はスルーしてしまう。
なぜなら、佐藤が一見チャランポランで、父親と正反対のタイプだったから。

ここで「みえっぱり」という言葉を使った山岸先生、さすがだと思う。
私にも「人からよく見られたい」って気持ちはもちろんある。
でもあまりにこの気持が強すぎると苦しくなってくる。
そんな時は一息ついてこの場面を思い出そうとおもう。

心に残ったシーン

もちろん、冒頭から始まる「きぇーーー!」の場面。
相当インパクトある。
一体何がどうなってこうなった?とページをめくらざるお得ない。
何年立ってもこのシーンは表情から服装からリアルに思い浮かべることができる。

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